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『色っぽいキモノ』レビュー  コラムニスト山崎まどかさん

2006.11.02

『Frau』の映画コラムでもおなじみ、今をときめく人気コラムニスト山崎まどかさんが、「saltwatertaffyの日記」で『色っぽいキモノ』のレビューを書いてくださいました!→こちら
あまりに嬉しいので、全文こちらに掲載させていただきます! ↓

スクエアな着物も、近頃流行りなレトロ乙女な着こなしも物足りないの! とネクストレベルを求める着物女子のあなた。粋でいなせで色っぽい、そんな着物の着こなしとそこに込められた哲学を、江戸文学や任侠映画に出てくる素敵な着こなしなどを例にとって楽しく解説してくれる『色っぽいキモノ』には、あなたが探し求めるおしゃれヒントがここかしこに!

でも、これは着物女子に独占させておくのはもったいない本だと思う。着物初心者でも、ぼんやり「着てみようかなあ…」と夢見ているだけの人でも、着物を着ることなんて全然考えていないような人でも楽しめる素敵なエッセイだから。

着物着こなしレクチャー本ではなく、「何が粋かよ」をちゃんと現代の女の子の言葉で、女の子の側から語っているという意味で貴重。私が考える一番近い書物といえば、江戸の粋とパリのシックを相対させて語ったマダム・マサコの『おしゃれ手帖』なんだけど、粋に加えてバッドテイストの美学を知るこの本の著者はマダムの上をいくのね。

「放蕩娘の縞々ストッキング」*1を愛読の皆さんは、そんなナギィさんの知性とセンス、すれすれユーモア感覚についてはとっくにご存知だと思うけれど! 日本でパリス・ヒルトンについて書いてあるサイトで本当に面白いところはナギィさんのところだけです、マジで。私は尊敬を込めて「ガーリー荒俣」と影で呼ばせていただいています。すごい知識量をやんわりとウィットで包み込む女性らしさが素敵。加えて本人がすごいべっぴんさんときている。男ならずとも惚れちゃうね。

そんな「女性でも惚れちゃう」色っぽさの美学を語っている『色っぽいキモノ』は、「色気」にまつわる日本の歴史をある種(←ギャル)の文化人類学的見地から描いた知的な本としても、杉浦日向子亡き後ぽっかり空いている「江戸について語る美人」を求める人がにっこり読む(でも時々さっくり刺される)スマートなたおやかエッセイとしても、ただただお洒落で面白い本としても、最上級に魅力的である。女子は本棚に一人一冊。